「第142回中山大障害」が21日、中山競馬場で行われ、2番人気のシングンマイケルが4角先頭から押し切ってJ・G1初挑戦優勝。デビュー20年目の金子光希(37)はJ・G1を18度目の騎乗で初制覇を飾った。
「やっと夢がかないました。折れそうな心を鼓舞しながら20年間なんとかやってきて、いい馬に巡り合えて…」。勝利者インタビューのマイクの先で目頭を熱くした金子。「胸を借りる立場でもいい勝負になると信じてました」と続けた。G1初挑戦の格下とはいえ、4角で早くも先頭に立つ横綱相撲。G1初優勝の高市師は「強気に乗ってくれた。東京ではゴール後も止まらないほど凄いスタミナとバネを持った馬。そんな持ち味を生かせた」と振り返った。次の目標はオジュウチョウサンが出走予定の阪神スプリングジャンプ(3月14日、阪神)。「一流を証明できたし、希代の名馬に挑戦したい」と金子は赤くなった目を輝かせた。
◆シングンマイケル 父シングンオペラ 母ジェヴォーナ(母の父トウカイテイオー)セン5歳 美浦・高市厩舎所属 馬主・伊坂重憲氏 生産者・北海道新冠町ヒカル牧場 戦績22戦6勝(うち障害14戦6勝) 総獲得賞金2億739万1000円(平地、障害含む)。
伊坂 重憲さん
○…大和市にあるパチンコ店「大魔人」の経営者で県遊技場協同組合の理事長も務める。初めて起業したのは大卒後間もない24歳で、バンドを組むほどの音楽好きが高じて音楽喫茶を立ち上げた。同時に手掛けていたゲーム機のリース販売の際に、顧客のパチンコ店を出入りする中で「これから伸びる業界」と見極めこの道へ。30歳の時に座間市に1号店をオープンし、その後は北海道にも展開させた。
○…小学生の時に友人の厩務員の息子に連れられ馬と触れ合った。その可愛さに惚れ込み、30年以上馬主として「シングン」の冠名で何百頭もの競走馬を所有。「シングンマイケル」は6月に中央競馬の重賞レースを制した。「マイナーな子でも大きな賞を取ることがあってロマンを感じる」。座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。いい事も悪い事もあるという考え方が鷹揚な人柄を培っている。