毎日行列ができるサントリー「社長のおごり自販機」…2人1組で自動販売機を使うことで生まれた新たなコミュニケーション方法
飲料自販機の台数は減少傾向にあり、オフィスや街中では利用する機会が減っている。そうしたなか、自販機の新たな価値や活用方法を見いだそうとしているのが、サントリーの「社長のおごり自販機」だ。サントリー食品インターナショナル株式会社マーケティング部の松本俊さんに導入企業の事例や効果について話を聞いた。
自販機から生まれる「コミュニケーション」
社長のおごり自販機は、社員2人が同時に社員証をかざすと「社長のおごりモード」が起動し、10秒以内にそれぞれ1本ずつ飲み物を選ぶという仕組みになっている。
社員証をかざすタイミングを合わせる「ひと呼吸」や、あらかじめ飲み物を決めておく「会話のやりとり」が行われ、いわば自然と社員同士のコミュニケーションが発生する。
“挨拶以上食事未満”という、仕事の合間にちょっとした雑談ができる。今まで話したことがなかった社員と交流を持つ機会になるとして、企業で導入され始めていると、プロジェクトを担当した松本さんはいう。
中略
サービス運営元のサントリーでは「15時~16時」に利用を限定しているという。
限られた時間しかないゆえ、そこまで使われていないと思いきや、「毎日行列ができている」と松本さんは語る。
サントリーの社内では15時になると長蛇の列ができる
「弊社の場合、6階の執務エリアにおごり自販機を設置しているんですが、毎回その時間をめがけて、各フロアから続々と社員が集まります。並んでいる待ち時間にも雑談が生まれたり、前後の人同士で話したりと、仕事以外のコミュニケーションの『場』として機能しています」
“恋のキューピット”になった事例も
その他の導入企業では、部署ごとに当番制を敷き、ふだんはあまり接点のない部署と交流できる機会を作ることや、週ごとに雑談のテーマを定めて会話の促進を図るなど、企業によっていろんな創意工夫が見られるとのこと。
こうしたなか、おごり自販機をきっかけにさまざまな“心温まるエピソード”が生まれているとか。
「『ペアになった相手と登山部を結成した』、『飼っているペットの種類が共通で、同じ話題で盛り上がれる友人ができた』、『出産を控える後輩の話を聞き、お祝い会を開くことになった』など、おごり自販機を通じて生まれる交流から話が弾み、さらに関係性を深めていくことにつながっています」