今回は、緊急事態宣言を受けて5月までは営業を自粛していた47歳のパチンコ店幹部に、これからの営業について聞いた。
https://www.news-postseven.com/archives/20200726_1581050.html?DETAIL
「もし休業再要請が出ても、従う気ありませんね」
関東近郊、地場のパチンコ店幹部である西口真二さん(仮名・47歳)はようやく活気を取り戻した柏の駅ビルの地下、通称「マル地下」のゲーセン街を見やりながら、私の質問を遮るように言い切った。質問は緊急事態の再宣言について。連日の雨、行きつけのそば屋でしばし話を聞く。
「あくまで個人的意見ですけど、休業再要請には従いません。私だけの本音じゃないでしょう」
中略
「だってそうでしょう、私たちはゴールデンウィークの段階で99%が要請に従いました。99%ですよ、日本中で1万店のホールの99%、こんな業界ありますかね、それくらい私たちは休業要請を守ったんです」
西口さんの言う数字はおおよそのものだろう。私の手元にある実際の数字では2020年4月の段階でホール数は1万店を割っている。また休業要請に従ったのは全国で98.7%となっているが、会話上ありがちな誤差の範囲であり言葉の本質は変わらない。パチンコ業界が一丸となって国や自治体の要請に従ったことは事実である。日本の自動車産業主要10社国内単体の雇用数をも上回る、22万人のパチンコ産業に従事する労働者とともに。
「みんな、その間のことはもう知らんぷりですかね。パチンコ業界がコロナを撒き散らす、パチンカスは不謹慎だと叩いたこと。確かにごくわずかに営業を強行したホールもありましたよ、でもあんなの例外中の例外、私も含めて国や自治体の要請に従ったんです。身銭切って休んでたのにね」
自粛期間中のパチンコ店がそれ以外の外食や小売と違うのは、店を開けていればそれなりに稼げたことだろう。客が来なければ休業するしかないし、実際それで臨時休業を決め込んだ飲食もあったが、パチンコ店は開けていれば儲かった、それでもパチンコ業界は国や自治体の命令に従って自主休業したことになる。それなのに、まるでコロナの元凶のように日本中から叩かれてしまった。
「普段のおこないが悪いから、イメージが悪いからとか散々でしたね。いまその役目は夜の街ですかね。ホストクラブもあれだけクラスターが出れば対策は必要でしょうね。でもパチンコ店からクラスターは発生していない」
中略
「誰もどうにもならないんだから、コロナ前提で仕事するしかないでしょう」
「とにかく休業再要請には従いませんよ。
もう仕方のない話、飲食だろうが劇場だろうが家庭だろうがコロナは発生場所を選ばない。そもそも満員電車は本当にコロナを運んでいないのか、医療関係者だって夜の街の人だって電車は使うのだ。「ウィズコロナ」は政府が推し進めるソサイエティ5.0を実現する試金石だ。リモートワーク・テレワークなどはまさにコロナ後の新しい働き方であり、教育機関ではタブレットが一気に普及した。むしろコロナを契機に仕事改革を進め、国際競争に立ち遅れないようにするしかないだろう。だとすれば、休業最要請などコロナどうこう以前の足かせでしかない。国力とコロナの天秤で、多くの国は国力を選んでいるのが現状だ。
「自粛はしろ、でも働け、そんな矛盾した状態で再自粛しろ再休業しろなんて誰も言うこと聞きませんよ。もちろん個人的意見ですけどね、うちは違うけど、都遊協なんて大変だったそうじゃない」
都遊協とは東京都遊技業協同組合のこと。小池東京都知事は政府の緊急事態宣言解除と別にロードマップを作成し、パチンコ店を一番厳しい「ステップ3」とした。もう東京アラートもステップ云々も忘れられているような気がするが、ついこの前の話である。都遊協は根拠もなしに休業要請の緩和がもっとも遅い「ステップ3」とされたこと、都の協力要請は全うできないとして組合員のホール各社それぞれの経営判断に委ね、総退陣した(その後6月12日の東京アラート解除に伴い理事長再任)。
「小池さんは都知事選あったから支持率狙いでパチンコ屋いじめに走った。パチンコだけじゃない、自分の選挙のために生贄を次々用意する。そんな彼女に350万票なんて笑っちゃいます。まあ、森田の千葉が言えた話じゃありませんけど」
パチンコだけやり玉にあげられた感かなりあるからな…。