新型コロナウイルス感染症対策として10都道府県に発出されていた「緊急事態宣言」が20日、沖縄県を除く9都道府県で20日までで解除された。今後は東京や大阪など7都道府県で「まん延防止等重点措置」に切り替わる。これにより条件付きで酒類提供が可能になるため飲食店も安堵と思いきや、「見せかけの緩和だ」として不満の声も上がっている。
緊急事態宣言解除も飲食店関係者に笑顔なし――。
長らく緊急事態宣言に翻弄されてきた対象地域の飲食店は、条件付きながらようやく酒類提供が可能になった。政府は基本的対処方針の改定のなかで、酒類提供が認められる要件として「同一グループの入店は原則4人以内」としたほか、アクリル板の設置や座席間隔の確保、手指消毒の徹底とマスク会食の推奨、換気の徹底を各都道府県に通知した。
これを受けて東京都と大阪府は対象地域に対し、政府の通知以上に厳しい「同一グループの入店を原則2人まで」「営業は午後8時まで、酒類の提供時間は午前11時~午後7時」の条件を設定。このほか東京都は店への滞在時間を90分以内と定め、大阪府は「感染防止認証ゴールドステッカー」の申請をしてコロナ対策担当スタッフとCО2センサーの設置を行う必要がある。
待ちに待った酒類提供の解禁に多くの飲食店が歓喜しているかと思いきや、聞こえてくるのは納得できずやり切れない言葉ばかりだ。
東京・新宿で串焼き店を経営する男性が「午後7時まででは休日はいいかもしれないが、平日の売り上げ回復は見込めず、厳しいままだろう」と話せば、大阪・北新地で鉄板焼き店を経営する男性は「午後7時までって、ほぼ出すなと言われてるのと同じ。いったい、誰のための緩和なのか? 飲食店に配慮したという見せかけじゃないのか?」と厳しく指摘した。
今回の酒類提供解禁は政府が大まかな指針を示した一方で、地域の感染状況に応じて各知事の判断に委ねるものだ。いわば責任の押しつけ合いだ。
酒類提供解禁にも飲食店関係者の不満は募るばかり。さらに怒りの導火線に火をつけかねないのが、菅義偉首相が17日に「感染が再拡大し、医療逼迫の兆しが見られた場合は、酒類提供の一律停止やイベントの厳格な開催制限などで機動的に対処する」と、酒類提供の再停止の可能性に言及したことだ。
前出の鉄板焼き店経営者は、「我々は感染防止のガイドラインに従っているのに、今は政府は東京五輪開催のため多くの外国人を入国させている。しかも、水際対策が甘いと言われる中、感染者が増えたら割を食うのは飲食店。何でもかんでも飲食店のせいにするのは絶対におかしい!」と怒りをぶちまけた。
そんな中、久しぶりに飲食店で飲酒ができる利用者たちはというと、「飲酒は2人までといっても、バラバラに入店して隣同士の席に座れば無問題」「友達がバイト中の居酒屋なら3人以上でもいける」「19時までにたくさんお酒を注文しちゃえばいい」など、すでに抜け穴探しの話題で持ち切り。
また、緊急事態宣言中も「昼飲みやってます」と通常営業していた居酒屋店主は「酔っぱらってバカ騒ぎしないための90分ルールだけど、客の回転率が上がって、リスクが増えるんじゃないの」と語る。
これまで緊急事態宣言で飲酒が禁じられていた際は、客に酒類の持ち込みを黙認する“不正営業”も横行した。ほかにもネットでは「料理教室は午後8時以降もやっていい。授業料を取ってカクテルの作り方を“生徒”に教えて試飲させる」「『置いているボトルは提供しておりません』と張り紙して、勝手に飲んだら1杯につき罰金500円取る」など、抜け穴の指摘があった。
まじめに感染予防対策を講じて酒類提供時間を厳守する飲食店がバカを見ないことを祈るばかりだ。
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/3326268/
抜け穴だらけの〝まん防〟酒提供制限「料理教室でカクテル試飲」「バラバラに入店して隣同士に」
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